瘋癲ノ喜多サン

男娼の緊縛道


縄は引っ張るのではなく、強く押し当てる。
4本の縄のテンションは同じでなくてはならない。
縄がねじれるのはもってのほかだ。
きつい縄が苦しいのではなく、縄目が揃っていない縄が苦しみを与える。
骨ばっている部位は緩く、太い骨のまわりにつく脂肪や筋肉には強く強く縄を押し当てる。
そこに快感が眠っているからだ。




焦ってはいけない、慌ててはいけない、
己の精神が整っていないのに人を縛るなんてことをしてはだめだ。
過信するな、驕るな、常に疑ってかかれ、
自分に目を向けず、常に相手を見て気にかけるんだ。
肌の発色、発汗、息づかい、吐息、喘ぎ声の変化を見逃してはいけない。
不自由ながらも動く体、特に手足の指先に注目するんだ。
苦しいのか、痛いのか、気持ちがいいのかを判断するために。



無理に吊る必要はない、
それでも吊る場合は腰縄を中心に吊り上げる。
腰縄は必須、吊り縄の中で腰が一番気持ちがいいからだ。
片腕に負担がかかる横吊りや、
股関節が伸びてしまう片足吊りはしてはいけない。
危険な吊リは、縛り手が上手いのではなく、
受け手が我慢強いだけだ、我慢すればしただけ、受け手の体が受けるダメージは大きい、
時として取り返しのつかないことにもなりかねない。




縄さばきは、華麗に色っぽく、
小さくチミチミ縄をさばけば、頼りのない小さな男と思われる。
縛りより効かせることができるのが解き縄だ。
時には肌が熱くなるほど強く解き、
時には肌に触れるか触れないかのようにサワサワと解く。
縛る部位によって解き方も異なる。
縛る時も解く時も緩急が必要だ。




縛りながらの性交はよろしくない。
縛り手が気持ちよくなって我を忘れてしまうと相手が危険な状態になっても気がつかないからだ。
縄が解き終わってからゆっくりと縄で火照った相手の体に愛撫を与える。
そして、自分の脳のスイッチを興奮モードに入れかえて、
思う存分に相手を抱き、狂ったように腰を振ればいい。
平常心も冷静さも必要ない、ただ野獣の如く相手を貪るんだ。



喜多の縄は男娼の縄。
女を悦ばすいろはが詰まっている。
色気があり、相手への充分なこころ配りでき、
そのうえ、冷静で自制心のあるタフガイにならなくてはいけない。
もちろん人を愛す情熱が一番大切だ。

真に難しい緊縛道
だからこそ習得すれば女から必要とされる男になれるのだ。


喜多征一

キュレーター紹介

逝かせ縄という妙技を操り、多くの女性を快楽の果てと誘う。東京と名古屋に道場を持ち、日本古来の文化である美しい緊縛を多くの生徒に伝承している。美しくなければ緊縛ではない美しい緊縛は気持ちがいい、それは肉体と精神と性が解放されることだ。

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