瘋癲ノ喜多サン
男と女SとM 『共喰い』
ここでは、映画の中における男と女のSM観を探って行こうかとおもいます。
決して映画紹介というわけでは、ありませんので秀作映画のみを取り上げるわけではありません。
第一回目は、『共喰い』(ともぐい)田中慎弥の短編小説。第146回芥川賞受賞作。原作の映画
動物的本能のまま女と性交をして、そして殴る。そんな父親に嫌悪感を持ち軽蔑する息子も、思春期になり、
女性の肉体を前にして、父親の汚れた血の流れる自分の性とサガに困惑する。
世間で思われてるSとは、この父親のように女を暴力と性で支配する者でしょう。
実のところは、真逆の行為、快楽と解放で支配するものがSなのである。
支配というよりは、かけがいのない者といった方がよいのでしょう。
ですからこの父親は、Sでもなんでもなくただの鬼畜です。
その鬼畜の血が流れる自分をコントロール出来ない息子、これはある意味性癖だ。
嫌だ、駄目だ、と思いながら逆らえないもの、これを昇華し解放出来るものがSMプレイなんですよね。
母親役の田中裕子の日本女性の耐える女、女房という名の奴隷、そして爆発する情念を表現する演技は圧巻でした。
日本の蒸し暑苦しいエロスが心なしか気持ちのいい映画です。
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