その他

自慰で開く夢

ええ、お恥ずかしい話ですが、自慰に全身全霊傾けていた時期がございました。
ディルドを好きなひとの、もの、だと想像して
朝も昼も夜も、家事や育児の隙をぬって快楽を求めるのです。


男のかたとの情事でオーガズムを感じることがないわたくしが
初めて躰の内で達したのもその時分のこと。
もっともっとと、更なる悦楽が欲しくなり
ディルドを奥の奥の奥まで突き上げて・・・、
そこで、あの虎に出会ったのでございます。


ええ、虎ですの。
ふだんは夢を食むように眠っている大きな虎が、
男性の、あの大事なもの・・・を感知するやぴくりと瞼を開けるのですわ。



最初は桃色の分厚い舌でやさしくぺろりぺろりと子宮の入り口を舐め
こちらを快感の浅瀬に揺蕩わせるんですの、
それが虎視眈々とはまさにこのこと、
突然猛烈な勢いで男性自身を咥えて離さないのですわ。

ええ、わたくしの意志ではありませんの。
わたくしの中の虎が男のかたを喰らおうとしているんです。

ロマンチックな閨を妄想しておりましたでしょう、
じぶんでも本当に驚きました。
荒々しい獣が躰の内側で咆哮するのですもの。
可愛い猫の声で男を引きいれておき、さんざねぶってから
ペニスを食い千切ろうと
狡猾な目を光らせる虎にあらがうなんて・・・とてもできませんわ。

ディルドを動かす手はいっそう激しくなり強く奥まで押し付けて
ああ、怖い、怖いからもうやめてと懇願しながらも
怒涛の快楽に飲まれて遂に虎の舌にからめとられたとき、
甘く大きな海がざぶりと波打ってこの身を包んだのですわ。

わたくしの躰が男のかたを抱きしめる。
その営みが海となって流れ出し、
ペニスを抱いているわたくしはその豊穣さに抱かれるのです、
泡となって消え、また生まれる、最後には静かな光が満ちる。
あの多幸感は忘れられません。


・・・・可笑しいでしょう、
自慰に耽って、万能感に浸る、愚かでささやかな女なんですわ、
いえ、どの女にも虎は眠っているのだわ。

ねえ、それとも貴方のもので、虎を揺り起こして
あの快楽の海に連れて行って下さるの?



 

会員登録をすると
コメントを投稿する事ができます

ログインする 会員登録

コメント

この記事に対するコメントはまだありません