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「信頼ホルモン」と「逝かせ縄」

 皆さま、こんにちは。ドク天駿と申します。

この度、喜多征一先生に師事し、緊縛を改めて習うことになりました。

 それなりの遍歴はありますが、今は駆け出しの縛り手として額に汗して勤しんでおります。そして図らずもキュレーターを仰せつかりましたので、緊縛やSM界隈に関係のある話など、徒然なるままに語っていこうと考えています。

 第1回目は「信頼ホルモン」と「逝かせ縄」のお話。
 「幸せホルモン」、「愛情ホルモン」などという言葉を聞いたことがおありですか。信頼できる人との間で、楽しい、嬉しい、気持ち良い、幸福な気分になったとき、脳内で作られて脳下垂体というところから分泌されるホルモンです。

 その本体は9個のアミノ酸が繋がったペプチドと言われるもので、名前を「オキシトシン」と言います。オキシトシンは一度分泌されると、気持ち良さは一層増して、オキシトシンの分泌量もどんどんアップしていきます。さらに愛撫し、触れ合うことで女性だけでなく男性にもオキシトシンが分泌されて、お互いに幸せな気分になることができるのです。もともとは赤ちゃんと母親の関係において重要で、生まれたばかりの赤ちゃんは母親を全面的に信頼していますから、オキシトシンにより安心した気持ちになっており、一方母親の方は乳首を吸われることでオキシトシンが分泌され、幸せな気分となって泌乳が促進されるようになるというわけです。これらは内分泌に関わるものですが、逆にオキシトシンは外から与えられると、相手への信頼感を増す作用があるという実験結果もあるようです。薬としては子宮を収縮させることから陣痛促進剤として、また欧州では授乳促進剤としても使われています。

 さて、男女(♂♂♀♀でも可)の交わりにおいて、幸福感あるいは性欲とオキシトシンは深く関係していますが、分泌される量は女性で多くしかも持続すると言われています。やがてオーガズムを迎えるときにはオキシトシンが大量に分泌されるうえ、エンドルフィンやドーパミンといった快感を惹き起こす神経伝達物質が増加してエクスタシーを感じます。ストレスや不安、その他の意識が飛んでしまい、興奮が雪崩のように押し寄せて頭の中が真っ白になります。いわゆる「逝った」状態です。「逝く」とは本来は死ぬという意味ですが、オーガズムの果てのエクスタシー状態においては快感以外のあらゆるものが消失しているわけですから死んだ状態に近く、従って喜多先生の「逝かせ縄」はエクスタシーを感じさせる高度な技術ということができるでしょう。

 では、「逝かせ縄」で何故オーガズムに達することができるのでしょうか。

それはもうお分かりのように「信頼関係」が前提になるのです。女性が縛られるということは大変なことです。男性社会が主導してきたSM文化??はSM雑誌やAVに見られるように男の一方的で独善的な性的欲望を満たすためのものであり、しばしば拉致、誘拐、拷問から強姦にいたる性的犯罪を模した絵空事も含めてコンテンツを湯水のようにタレ流してきました。(正直言って、えげつないものでなければ私も好きですが^^;)ですからSMや緊縛に目覚めたとする男性の多くはこうしたものに洗脳されてきているので大いなる誤解に捉われている場合が多いのです。それは直ぐには治らないとしても、喜多道場においては喜多先生の掲げる信頼の傘の庇護のもと、縛り手と受け手は安心して緊縛の技術と高度な性的エクスタシーへの道を追求することができるのです。

 喜多先生の「逝かせ縄」ライブを見ていると、一縄が正しい位置で適度な強さで肌を圧迫し、二縄に閂(かんぬき)が掛けられるとき既に女性がむせび泣いていることがあります。縄の快い刺激でオキシトシンが分泌されている証拠です。さらに縄が絡み、要所が強く締められるとその分泌は一挙に増大し、子宮や膣の筋肉が収縮します。そして手による刺激や愛撫が加えられると脳内麻薬のエンドルフィンなども分泌されオーガズムに至ります。さらに鞭打ちや蠟涙を垂らすなどで脳内麻薬の量を増やし、苦痛を快感に変えることができる場合もあります。

このように信頼ホルモン「オキシトシン」は緊縛に携わる私たちにとって大事なものであり、それを直接見ることができないにしても、愛すべき女性たちの身体で何が起きているかを観察し、感じ、想像しながら、共に最高のエクスタシーに到達できるようになることを目標に研鑽して参りましょう。

今後ともよろしくお願いいたします。

尚、お時間があれば、あまり頻繁に呟いていませんが、私のtwitter

ドク天駿 https://twitter.com/tiedandromeda

もご覧頂ければ幸いです。

             以 上

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