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エロスのお作法〜女の本音が聞こえてくる店〜

ここは場末のスナック。ワケアリ女が集いホステスとして働いている。ママは80を過ぎた人生の酸いも甘いも全てを経験してきた女の大ベテラン。
チーママは40を過ぎたイイ女。男を立てられる古風で静かな人だ。

今日は平日。木曜日。
22時を過ぎたらノーゲスト。さぁ、ほろ酔い女達の女子会と言う名の愛だの恋だのセックスだのぶっちゃけトークが始まった。

さぁ、少しだけ聞き耳を立ててみよう。


まず口を開いたのはミサキ。彼女はは既婚で長い間旦那さんとはセックスレス。このお店ではカラオケ担当。歌が上手くて人気も上々。色気のある熟女だ。
「この前旦那にせまられて久し振りにやったらさあー、もう最悪!私ばかり動かされて旦那ずっと仰向けで目閉じてるの!最後勝手に出してさ、そそくさパンツ履いてそっこー寝やがったの!どー思う?!」

「あーー!私もある!!前戯皆無で無理矢理騎乗位!虚しくなって途中で止めてやったわ!腹立つ!」
同調したのはまだ若い20代のローズ。背が高くてモデルさんの様にスタイルが良い。趣味はエアロビクス。彼女も既婚、旦那のセックスに不満有り女。しかし、旦那様の事はきちんと慕っている。
セックスだけがご不満の様子。

「私なら騎乗位しながら旦那の首絞めたるわぁ〜」
続く威勢のいい女はお笑い担当の夏子。彼女は盛り上げ上手なお調子者。でもしっかり旦那と彼氏がおりやる事はやっている。セックスに不満無し。旦那とは入籍してから一度もセックスをしていない。子供は欲しくないとのこと。夏子もそれでいいと納得した。結婚生活というより、共同生活。夏子は心の底で彼氏と旦那様に感謝した。


ミサキは寂しそうに「なんで好きなのに…触れたいのに…抱き締めてくれないんだろう…。」
そうポツリ呟いた。細い指でウーロン茶の中に浮かぶ氷をぽしゃんとかき混ぜた。
ミサキはどこからどう見ても美しい。丁寧に歳を重ねてきた女性という感じで「おばさん」の影は1ミリもない、逆に世の男性は尻込みをしてしまいそうな位気品に溢れている。
旦那様だけが近くで見過ぎて慣れてしまったのか、「お母さん」になってしまったのか、相手をしてくれない。
この店ではモテるのにモテたい人からモテないなんてつまらない。どうしたらいいの?」

ママが一言「男なんて一緒に生活をしている女には燃えないもんなんだよ。外に女がいるね」

ああ、ママ。言葉がキツ過ぎて入ってこないよ。
今なんて???

聞き耳を立てて聞いていた私は妙に納得した。


今このママの一言にドキリとした読者の方はどれくらいいるだろうか…。男女問わず図星だわと思った方もいるでしょう。。

夫婦の営みが全くないのか。あったとしても旦那の性欲に付き合わされ身体を雑に触られ前戯もなく穴に入れられ擦るだけこすってただ一人で射精を迎える。ミサキやローズの様に悲しい思いをしている女性達は日々闘っている。

自分の気持ちと。



その闘いすら放棄し進化したのが夏子だろうか。彼女は入籍してから一度も旦那とセックスをしていない。キスも何も。お互い求める事もなく淡々と生活をしている。不仲な訳でもなく…ただ、セックスをしないだけ。夏子自身は変わっている。何故女が家事をする?何故毎日ご飯を作らなくてはいけない?そう考えていたので家族には生涯独身宣言をしていた。何故結婚したかって?出会った男性も変わっていたから。家事を当たり前の様にしてくれる。掃除、洗濯、食器洗いガス台の掃除も卒なくこなす。家事を終えてから会社に出勤をする。夏子はその間は何をしているのだろうか…。シャワーを浴びてメイクをし出勤の準備をしている。ご飯も作れる時だけでいいよと言っくれた。夏子はそれに甘え週に4日程料理を頑張って作る。夜ご飯のみ。体調が優れない日は「お弁当買って食べてねー!先に寝てるから!」そんな具合いだし、
そして夏子最大のこだわり条件。夏子の活動を否定しないでくれ、自由に過ごさせてくれ。それを受け入れてくれたから、入籍をした。嫌だったら離婚すればいいや。入籍前からそんなことを考えていた。
生活費は折半している。なんなら夏子の方が多く支払っているだろう。
旦那の給料がひもじい訳ではない。子供は初めから設けないと決めた。それでお互い不満も無く共同生活をしている。
夏子は彼氏が好きすぎて彼以外とのセックスは考えられない。逆に旦那とのセックスが無くて有難い限りとまで思っている。
どんな形であれ性欲を満たそうと女たちの努力は続く。妻でも、ママでもなく一人の女性として。


大ママの言う通りかもしれない。
ミサキもローズも、夏子も心のどこかで解っているのかもしれない。日々の日常に流され、
どこか寂しくて、近くの人は振り向いてくれない。貴方に欲情される存在になりたいのに…自分でも何が悪いのか、どうしたら良いのかも分からない。

この場末のスナックには多くの悩める女性が在籍しお客様に見せる笑顔の陰に潜む女の闇。
ああ、男と女は永遠に分かりあえない存在なのでしょうか。それともその必要はないのでしょうか。




 

キュレーター紹介

ake

イメージコンサルタント、ベリーダンサー、モデル、変態の四足のわらじを器用に履きこなします。どうして私が『見た目』にこだわり『美の追求』をし、『素敵に歳を重ねる』事に趣を置くのか。そしてSMとの出会い、緊縛が私に与えてくれたもの。 考え事と妄想の交差点。読書をして恋をし、電車に乗っても恋をする。恋多き女とは私の事ね。

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