瘋癲ノ喜多サン

モテオヤジ創造論



昨今、インターネットやSNSの普及によって、緊縛も随分とカジュアルになって喜ばしく思っています。
昔は、アンダーグランドの沼の奥底に存在して、ごく一部の愛好家のみその存在を知り、俗に変態と呼ばれる行為だったのです。果たして緊縛は変態なのでしょうか?縛られることは抱擁であり、鍛錬された緊縛技術で縛られた姿は美しく、精神も肉体も性も解放されて行くのです。私に縛られて緊縛は気持ち悪くて好きになれないと口にした人はいません。ヨガのようであり禅のようであり瞑想のように自己と向き合い新しい自分の発見であるようなことを言われます。なので私としてはどんどん緊縛が普及し、世界中に広まって欲しいと思いますし、その一役を担いたいと使命感を持っています。



緊縛の普及と共に問題があるのも事実です。よく問い合わせであるのが、「縄あとはどれくらいつきますか?」だいたいは2、3時間で消えますが、縄咬みがしてしまったり縄が擦れて出来た裂傷は2、3週間残ります。色が白く肌の柔らかい人は特に簡単に鬱血してしまいます。しかし、縄あとや裂傷は緊縛の醍醐味です。消えゆく縄あと、鬱血の色が変わって行く様、ここにもの悲しさや情事を思い出すエロスや情緒が存在するのです。縄あとや鬱血が出来ない緊縛はありません。例えばサーフィンをするときに日焼けはしませんかと言うようなものです。サーファーの魅力は日焼けした肌ですよね、色白のサーファーなど見たこともありませんし、居たとしたら気持ち悪いことでしょう。(80年代には、サーフィンが出来ないのにナンパ目的でサーフボードを抱えて街にくりだす丘サーファーなる者も居ましたが、それでも日サロで一生懸命肌を焼いて居ました。)なので、縄あとを気にするようでしたら縛られない方がいいのです。私は縄あと気にする人には、縛るのをお断りしています。



緊縛が出来るとモテるのは確かです。これまたサーファーと似てますよね、サーフィンが上手いとカッコいいです。サーフィンが人生なんていうおじさんなんて最高にイケオヤジですよね。それはなぜが、自然を愛し自己の美学を持ち、果敢に危険に挑んで行く男らしさ、それらの裏には卓越された強靭な精神力と優しさがあるからなのでしょう。ただお遊びでサーフィンをする人はチャラそうに見えてきっとモテないのではないのでしょうか?実は緊縛も同じです。自分よりか弱い女性を縛り、手足を縛られ拘束された女性に快楽を与えるのです。洞察力観察力がなく相手の気持ちの分からない人や、ちょっとしたことで動揺してしまうような精神の持ち主では、快楽を感じるどころか恐怖心しかありません。その上しっかりとした技術と経験がないと相手に応じた縛りが出来ません。昨日今日縄を始めて、縄師気分で女性をナンパしている人も少なくありません。



最近特に多いのは、YouTubeで勉強したと言う人です。緊縛は、リモートやビデオや本では習得できません。柔道や剣道、茶道や華道など道を志すものは、先生から習わないといけません。そこには間であったり、侘び寂びのような言葉では言い表せない日本的精神性が存在するのです。このような、こんな感じといった、時には曖昧とも感じとられる気といったものを、師と仰ぐ人から伝授してもらうのです。私の教えているのも縛道であり、とても難しく精神の向上を目的とし、その上で技術を習得して行くのです。動じない心、相手に心地良さを提供すべく洞察力観察力、長きに渡り鍛錬し習得した技術と緊縛美を創り出す美学を持ち合わせるからこそモテるのです。丘サーファーでなく、30年も40年も一年中海に入って波を愛したサーファーにならなければ本当の意味でもモテオヤジにはなれません。



チャラオヤジは嫌われます。と言うよりもカッコ悪いです。一本筋の通った枯れオヤジになりましょう。
枯れオヤジになるとモテるモテないなんて、どうでもよくなるのです。残り少ない我が人生悔いのないように生きるにはどうすればいいのか、死が訪れるまでひとつのことを信念としてやり続けることで、心の浄化と俗的な煩悩から解脱の達成を試み、生まれてきた意義を問うて行きたいと思うのです。
究極のモテオヤジとは、枯れオヤジなのでしょうね。



緊縛の間口は広くなりました。緊縛人口が増えることはとてもいいことです。ただし、緊縛には危険がつきものです。正確な知識と技術、揺るぎない精神力を身につけてから縛りましょう。そしてそんな人に縛られて下さい。一人でも多くの緊縛師を輩出出来るよう、私は365日休まず緊縛を教えています。縛られたい皆さん今しばらくお待ち下さいね!

喜多征一



 

キュレーター紹介

独自に染め上げた色鮮やかな染め縄を使った緊縛が特徴。自身も緊縛師として全国で活動する傍ら、日本におけるBDSM(bondage, dominance and submission, sadomasochism)に関する文化や価値観を改めるための活動を精力的に行っている。当Webメディア「SMLuxury(エスエムラグジュアリー)」では、編集長としてBDSMに関する情報発信を行う。

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