瘋癲ノ喜多サン

逝かせ縄とは



昨日ロシアからとても綺麗でモデルのような女性が縛られに来ました。運よく生徒でスペイン人のパブロがレッスンのため居ので少し残ってもらい、彼は英語が堪能なので細いニュアンスの通訳をしてもらいました。彼女もインテリアデザイナーで各国を飛び回っているので英語力が優れていたのでとても助かりました。手の痺れや痛みが出たらすぐ言って下さいとか体のどこかに怪我や骨折をしたことはないかとかメディカルチェックのようなことをパブロに通訳してもらいました。彼女はinstagramで私の縛りを見て縛られてみたいと思ったとのことで、フォロワー数が18,000人もいるのでロシアではそこそこ有名なインテリアデザイナーなのかもしれませんね。彼女はロシアやドイツでも縛られた経験もあり今回の来日で日本の緊縛師なん人かにも縛られて私が最後ということでした。後手縛りをはじめるので座って下さいと言うとすぐに綺麗な正座をしました、最近は日本人でも正座の出来ない人が多いのに感心です。縛りはじめるとどんどん彼女が感じていくののがわかったのでところどころ逝かせ縄で締めつけて行きました。彼女は逝かせ縄のことは知りません、ただインスタの写真のモデルのように綺麗に縛って欲しいという要望でしたが、入り込み方が良かったので少しづつ逝かせを効かせて行きました。すると全身を縛られた頃には息も荒く身をよじらせ悶えはじめ小さく体を震わせ逝ってしまいました。縄を解くと放心状態でその場に横たわり30分ほど浅い眠りの中を漂っていました。その後、感想を聞くと「こんな体験は初めて、なんて言うの精神と肉体どちらもすごく気持ちがいいの心の奥底にある自分が浮かび上がって来てそれが広がってゆく感じ、うーんなんて表現していいか分からないけどとにかく凄く最高な気分なのよこれが本当の緊縛なのねみんなに教えてあげたい」ともちろんパブロが通訳してくれました。



言葉での意思の疎通も出来ず、逝かせ縄なんて概念も知らず育った文化も環境も違う人が解放される。逝かせ縄とはなんだろう、逝かせ縄とは私が作った造語なのでそんなものは緊縛界にも存在しません。正確に言うと10年ほど前にあるお客さんが「先生に縛られるとどうして逝ってしまうのそれもなんどももなんどもまったく逝かせ縄だわ」と言われたことが語源なのです。師匠からよく教えらました、「受け手の心の中に縄で気づきを与えなさい、そのためには受け手の全てを感じるのですよ、息づかい発汗、肌の発色、小さな体の動きを」それを常に実践していたのです。すると縄の当て方、締めつけ方、縛る部位の位置で体が小刻みに揺れ息が荒くなり腹筋や足に力が入りあきらかにオーガズムに達しているようになる人が出てくることに気がつき、縛り終わった後に話を聞くと「性的な興奮はもちろんあるけれどそれ以上に感情や脳が疼くと言うか異次元空間に放り出されるって感じかしら、うーんなんて表現していいか分からないけどとにかく幸せな気分なの」なんて言葉が帰ってくることが多かったのです。もちろん個人差もあってただただ泣きじゃくる人、宇宙に行って神様に会って来たと言う人、性器をもっと刺激して欲しいと懇願する人、そのまま軽い失神状態で眠りに入る人、まったくなにも起こらずなんとなく気持ちが良かったと言う人。逝かせ縄は縛られて全ての人に快楽をもたらし精神と肉体と性を解放し多幸感に包まれる縄のことなのです。



逝かせ縄は、女性だけでなく男性にも効くのです。男性で縛られに来る人の八割程度の人が全裸で縛られたがります、私個人的にはそちらの性癖はありませんのでちょっとしんどいのですが、気持ちよくなりたい人の気持ち優先ですのでこころよくお受けさせていただいています。男性が全裸で縛られると気持ちいいバロメーターが立ったりしぼんだりするのでとても分かりやすく勉強になります。基本射精NGですからギンギンの勃起状態で上下に小刻みにピクピクしだしたら、強烈な痛みを与えます。するとみるみる元気がなくなってゆくのですが、痛み大好きM男さんの場合はその痛みの刺激で発射してしまうので気をつけなければいけません。射精NGでも男性のお客さんがリピートするのは、射精だけが男のオーガズムでなく、いろんな脳内ホルモンの影響で脳が最高に気持ちよくなり多幸感に包まれるようです。これが最高に気持ちがよく射精の比ではないらしいのです。なんと言っても私自身射精のオーガズムしか知りませんのでその多幸感を味わったことがありません。我が師匠の征爾先生は常日頃から、「縄師たるもの縄を受け手はならん、受けた縄を縛りだと思う、いろんな縛り手がいるいろんな縛りがある縛りには先入観があってはならない。セックスをするとき女にならないだろ、いろんな女を抱き多くの女の感じる場所や悦ぶ責めを熟知していい男になるわけだ」さすが伝説の男娼縄師ですね、超かっこいいです。



逝かせ縄を受けたことがない私は正直逝かせ縄がどんなものは知りません。脳科学者でも医師でもないのでなぜそうなるのかと言うメカニズムも分かりません。今まで受けたことがある方の感想を元に日夜技を磨いているのです。力不足で100人が100人とも逝かすことができません。技術だけではダメなのです 心、情緒、精神が伴わないと逝かせられません、まだまだ修行です。毎日のようにいろいろな人が縛られに来てにこやかに帰られていく姿を見るととても嬉しく思い、達成感に体が沸き立ちます。なんとありがたい仕事だろうと、私の手で、心で、縛りで人が解放され多幸感でいっぱいになる。神さま私にこのような仕事を与えてくれてありがとうございますと思い、さらなる高みを目指し今日も一縛一縛心込めて縛るのです。

喜多征一

キュレーター紹介

逝かせ縄という妙技を操り、多くの女性を快楽の果てと誘う。東京と名古屋に道場を持ち、日本古来の文化である美しい緊縛を多くの生徒に伝承している。美しくなければ緊縛ではない美しい緊縛は気持ちがいい、それは肉体と精神と性が解放されることだ。

会員登録をすると
コメントを投稿する事ができます

ログインする 会員登録

コメント

この記事に対するコメントはまだありません