瘋癲ノ喜多サン

色事縄師



60も過ぎれば

動物的な精力が衰えるのは当然だ

ならば今一度

老獪な色事師として

セピア色の世界でじっとりとねっとりと

縄を這わし指でなぞりこの世の最果てに誘う

色事縄師

野暮ったいエロスはいただけない

ポルノな爺さんではいささかうすら寒い訳だ

色気たっぷりに老獪で危険な爺さんがいい

だいたい縄師などが女を作ったり

ましてや結婚なんて大それたことを思ってはいけない

ある意味出家僧のように

世俗を捨てて解脱のために修行するのが望ましい訳で

縄師は世俗を捨て煩悩の限りを尽くし

果たしてその先に悟りの境地を見ることができるのか

はたまた地獄で閻魔に釜茹でにされるのか

まぁ後者であっても構わない

残りの人生など惜しくもなければ

輪廻転生など信じてもいないから望むこともない

ただひたすら縛り縛り縛りまくり

ひとりでも多くの女性に最高のオーガズムを差し出したい

それが私の性であり生なのだ

私が培ってきた

色事師としての息づかい

緊縛師としての技

受け手の一挙手一投足を感じとる精神

今一度

自分の生かされている意味を噛み締め

色事縄師がどう生き抜き死にゆくのか

しかとご覧ください

かっこ悪く生きたとしても

うすら寒い爺さんにはなりたくはないね


喜多征一

キュレーター紹介

逝かせ縄という妙技を操り、多くの女性を快楽の果てと誘う。東京と名古屋に道場を持ち、日本古来の文化である美しい緊縛を多くの生徒に伝承している。美しくなければ緊縛ではない美しい緊縛は気持ちがいい、それは肉体と精神と性が解放されることだ。

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