瘋癲ノ喜多サン
性愛(渇き)
意味を剥ぎ取られた性愛は、
むき出しの欲望として街に溢れた。
だが、
乾きだった。
どれだけ激しく抱き合っても足りない。
どれだけ多くの身体を渡り歩いても埋まらない。
快楽は一瞬燃え上がり、
灰だけを残して消えていく。
人は欲望を手に入れた。
だが、生きる理由までは手に入れられなかった。
現代人を蝕む孤独とは、
だから人は再び愛を探し始める。
それは懐古ではない。
純愛への後退でもない。
家庭や制度への逃走でもない。
もっと根源的で、
もっと暴力的な渇望だ。
自分という殻を突き破り、誰かと一つになりたい。
ただ触れたいのではない。
ただ所有したいのでもない。
存在そのものをぶつけ合い、傷つきながら、
そんな飢えが、欲望の底でうごめいている。
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