瘋癲ノ喜多サン

あるミュージシャンの辞任

いじめ問題で辞任したミュージシャンとは同世代だ。昭和の価値観の中で育てられて、多感な思春期の頃には日本は世界一の金持ちになりアメリカのランドマークを買いあさった驕り絶頂の世代だ。SNSがない時代、あおり運転は日常茶飯事、いじめ差別、セクハラもさほど問題視されず。被害のほとんどが闇に葬られて、被害を受けた者だけが傷つき泣き寝入りをした。私も加害者側として当たり前に生きていた。その勢いのまま平成も確固たる地位を持ち続けた者は、令和の今 どんどん吊るし上げてられていく、これからも魔女狩りのようにSNSで叩かれていくことだろう。昭和の調子に乗って平成も快進撃をした私は、幸か不幸か力足らずで失速し平成の終わりを待たずに破産をし、令和を闇の請負人として、苛められるのを望んでいる人に意地悪をして、細々と世間に背を向けて暮らしている。これからこのミュージシャンは、どう生きていくのだろかなどと思いながら昭和を振り返っている。金がありあまり、たくさんの優れた文化が生まれ成熟したけれど人の心がどんどん荒んでいった昭和。令和の今 表向きには優しい時代、それはとてもいいことだ。でも、きれいごとだけで成り立たないのが世の中で、その分闇が深く大ききなり違う犠牲者を生み、違う深く傷つ者を輩出することだろう。ルールが変われば善人が悪人になり、悪人が善人になる。今の私は悪人が善人になっているのかもしれない。


撮影:ミキさん
 

キュレーター紹介

逝かせ縄という妙技を操り、多くの女性を快楽の果てと誘う。東京と名古屋に道場を持ち、日本古来の文化である美しい緊縛を多くの生徒に伝承している。美しくなければ緊縛ではない美しい緊縛は気持ちがいい、それは肉体と精神と性が解放されることだ。

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