美しいさやには美しい刀がふさわしい
老いとは年齢ではない。
気力を失った瞬間に、人は老いる。
どれだけ若い顔をしていても、
欲望をなくし、情熱をなくし、
「もういい」
「今さら」
などと言い始めた男は、すでに老いている。
そして、美しい女というものは、その衰えを敏感に嗅ぎ取る。
老いぼれや無気力な男に縛られて、美しさは保てない。
なぜなら美とは、生きようとする力に引き寄せられるからだ。
本当に美しい女ほど、生命力に敏感である。
覇気のない男。
諦めた男。
疲れ切った男。
安全地帯から人生を眺めているだけの男。
そんな者の腕の中で、美は次第に枯れていく。
逆に、危うさを持つ男。
欲望を持つ男。
何かを奪い取ろうとする男。
人生に食らいついている男。
そういう熱を持つ者に、美は惹かれる。
美とは圧倒的な“勝ち”なのである。
ただし、それは金や地位だけの話ではない。
生命力の勝負だ。
どれだけ老いても、
どれだけ傷だらけでも、
「まだ生きたい」
「まだ欲しい」
「まだ楽しみたい」
そういう飢えを持つ男には、不思議と色気が残る。
そして時に、人は完璧な美よりも、雰囲気美人に深く溺れる。
顔立ちだけでは説明できない。
仕草。
声。
匂い。
視線。
空気。
容姿以上の魅力を持つ女。
それはまるで珍味のようなものだ。
最初は強烈ではない。
だが、気づけば忘れられなくなる。
何度も味わいたくなる。
若い頃はわかりやすい美に目を奪われる。
だが老いが近づくにつれ、人は深みのある美に取り憑かれていく。
そして、その珍味こそが、男を若返らせる。
恋をする。
欲情する。
奪いたくなる。
抱きたくなる。
その衝動が、老いを遠ざける。
人間は、欲望を失った時に急速に朽ちていく。
だからこそ、人生には美が必要なのだ。
究極の珍味。
その美しい鞘に収まる刀のように、自分を研ぎ澄ませたい。
鈍く錆びた鉄ではなく、
熱を帯びた刃として。
不老不死など存在しない。
だが、魂だけは若くいられる。
気力精力に満ちたオスとして、
最後まで人生を喰らい尽くす。
それが男の生き様というものではないか。
ああ、人生とは実に官能的で、残酷で、滑稽で、美しい。
キュレーター紹介
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