瘋癲ノ喜多サン
自尊心が砕け散る瞬間
思い込みから始まる関係
人はしばしば、想像の世界で関係を築こうとする。
実際の相手ではなく、
自分の心の中で作りあげた架空の人物に想いを寄せ、魅力的な物語を紡ぐのだ。
あるがままの相手を見ずに、理想や憧れを重ねていくことで、
楽しみや興奮、むさぼりが生まれる。
しかし、それは実在しない誰かに向けられた感情でしかない。
いつしか疲れがのしかかり、
その享楽も興奮もむさぼりも虚しいものとなる。
思いを込めていた存在が、
実は何も返してくれていなかったと気づくとき、深い敗北感が襲う。
それは自尊心が砕け散る瞬間であり、どうしようもない哀れさを感じる。
「思いに応えないあいつのせいだ」
「許せない、あいつは人の心を弄んでいる」
そんな憤りが心を支配し、
やがて怒りは暴力的な衝動へと変わることもある。
だが、その「相手」とは、実際のあいつではなく、
自分の妄想というモンスターが生み出した幻影なのだ。
繊細で才知に富むがゆえに、好奇心と偏見の狭間で揺れ動き、
感受性が強すぎるのか、はたまた欠如しているのか、
真実の感性を受け取れずに苦しむ愚か者。
誰もが経験する恋愛の妄想。
結局のところ、恋愛そのものもまた、妄想のひとつなのである。
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