瘋癲ノ喜多サン
S+M=LOVEの寓話
この世界のすべては、二つの極からできている。
光と影、太陽と月、呼吸の吸と吐、
そして男と女、SとM
能動の魂をもつ者は、Sと呼ばれる。
世界に働きかける。火を灯し、風を起こし、
形のないものに意志を注ぎこむ。
眼差しは強く、声は低く響き拒絶を拒む、
Sは世界の脈をつくる者。
受動の魂をもつ者たちは、Mと呼ばれる。
世界を受けとめる。火に温まり、風に揺れ、
痛みにすら意味を見いだす。
沈黙には深い祈りがあり、涙のなかに忠誠がある。
Mは世界の心臓を守る者。
信じろと命じることで、誰かに愛されることを信じていた。
信じさせてと囁くことで、自らの存在が価値を持つと信じていた。
Sが差し出した手に、Mは静かに身を委ね、
Mが流した涙を、Sは拭いながら微笑んだ。
それは支配ではなかった。
従属でもなかった。
それは均衡だった。
極と極が、引き合うことでしか生まれない緊張。
愛とは、矛盾が溶け合い、名もなきかたちを生むこと。
SとSが出会えば、空は裂け、雷が落ちる。
MとMが寄り添えば、風は止み、花は枯れる。
同じ極は、同じ夢を見られない。
逆の極だけが、愛という幻想を生むことができる。
S+M=LOVE。
それは、魔法の公式でも、禁断の方程式でもない。
ご主人様や愛奴などとくだらなく幼稚な関係でもない。
ただ、ひとつの静かな真実なのだ。

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