瘋癲ノ喜多サン

私の過去は全て間違っている



私の過去は全て間違っている
25歳で起業して直感とセンスで仕事がうまく行ってしまった。
その後25年も経営をすることになるのだけれども。
働くとはなにか?そんなこと考えることもなくとても働き者だった。
次から次へと事業を拡大し、海外に店や工場や会社を作ったりもした。
果たしてそれは必要だったのかな、
むやみに働いてるアピールで損してしまったのならば、何もしなかった方がよかった。
誰の為に働いたのか、家族のためといえば聞こえはいいが、
自己顕示欲や承認欲求のためだったのだろう
たかがそんな欲が満たされるためによく働いた。



しかし、仕事で忙しくはしているが心は退屈なのだ。
なので夜な夜な刺激を求めて夜の街に繰り出す始末
酒が好きというよりは、刺激に興奮したくて飲んでいたのだろう。
海外に出かけた時にも刺激を求めて、
ローカルの人たちが飲む酒場で朝まで飲んで危ない目にたくさんあった
生きてられるのが不思議な体験もした。
とにかく仕事は忙しいのだが心が退屈なのだ。



だから
物に支配される
本当は要りもしないものを買う、購入した時の一時的な興奮を手に入れるためにね。
しゃかりきに働いて儲けた金で家を買う、車を買う、たくさん買う、
買ったものに保険をかけるもちろん自分にも保険をかける
取得税や固定資産税を払う。
高級なものを買うと付属の保険や税金で物の価値以上にお金を支払うことになる。
それでも稼げばいいやとまた仕事をして忙しくなり、心が退屈になる
刺激を求めて酒を飲む、ものを買う
無限ループなのだ

その無限ループからの解放は会社を潰し無一文になることだった。
こんな馬鹿げた経営をしている訳だから法人を解散して清算をすることなど出来るはずもなく
民事再生をする選択肢もあったが、会社を継続することに意味を見出せなかった。
全てを無くしてしまいたかったんだね。
自分の愚かさと間違いを正すために
全財産と一緒に社会的地位や驕りや見栄やプライド全部を失くす。まさに究極の断捨離だ。
 

あれから8年
持っている資産はなく、やっと最近クレジットカードが手に入った。
少しづつ社会的信用を取り戻しつつ、毎日人を縛りその日暮らしをしている。
刺激など必要もなくなり酒も断ち、物欲は消えて無くなった。
欲しいものがないのは心が退屈をしていないからだ。

緊縛をして風呂に入り寝る、こんなことがこんなに楽しく刺激的だとはね。
最高な毎日を手に入れられたのは、私の過去が全て間違っていたからなのだ。
若者よ、50歳まではたくさん間違えをしなさい、
ただし親兄弟妻子を悲しませてはいけない、自分だけが間違えて苦しみなさい。
人生100年、残り50年は心が退屈しない生活で幸せな人生で終わらせましょうね。


喜多征一


撮影:けんさん





 

キュレーター紹介

逝かせ縄という妙技を操り、多くの女性を快楽の果てと誘う。東京と名古屋に道場を持ち、日本古来の文化である美しい緊縛を多くの生徒に伝承している。美しくなければ緊縛ではない美しい緊縛は気持ちがいい、それは肉体と精神と性が解放されることだ。

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