欲望の旅
ロードムービーが好きだ。(何度も言っている)
あてもなく走り続ける車、乾いた風景、モーテルのくたびれたネオン。
物語がどこへ向かうのか分からないあの感じがたまらない。
そんな気分で観たのが、邦題『欲望の旅』。
いかにも扇情的なタイトルで、日本の配給会社はまた色気で売ろうとしたのかと苦笑する。
実際は、静かでアンニュイな作品だ。
フランス的な間の取り方、説明しすぎない空気感。
エロドラマというより、むしろ退屈すれすれの芸術映画である。
舞台は乾いた南カリフォルニア。荒野にぽつんと建つモーテル。やたら存在感のあるハマー。
少しだけ成金趣味で、少しだけズレている。そのアンバランスさが妙にいい。
そして何より、カテリーナ・ゴルベワの存在感だ。
彼女が歩き、笑い、怒り、黙り込む。ただそれだけで画面がもつ。
タイプの女性がスクリーンの中で動き話しかけてくる。
ただそれだけで映画は成立するのだ。
テンポはゆるい。うつらうつらしながら観るのにちょうどいい。
物語は特に盛り上がるでもなく、感情は宙ぶらりんのまま進んでいく。
ところが後半、突然空気がねじれる。
荒野での襲撃シーンから、なぜかプチホラーの様相を帯びてくる。
観客は当然、最悪の展開を予想する。だが映画はそこを裏切る。
ショッキングではあるが、予想とは違う方向へ物語は転がる。
その後の彼氏の落ち込み方が、また妙にリアルで滑稽で、やりきれない。
シリアスなのか、ブラックユーモアなのか分からないトーンが続き、
ラストはホラー映画のような余韻を残す。
「なんでこうなる?」と苦笑する。
でも、そのなんでが嫌いじゃない。
むしろそこがこの映画の愛すべき駄作っぷりだ。
整っていない、不格好、説明不足。なのに、どこか忘れがたい。B級ロードムービーが好きで、完成度よりも空気を味わいたい人。
昼下がりにうとうとしながら映画を流したい人。
整いすぎた物語に飽きた人。
まぁ人生ってそんなもんだろって
だらしなく生きている人
機会がありましたらどうぞ!
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